026_ひとともり奈良本店 内覧会のお知らせ

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ひとともり奈良本店

ようやく完成が見えてきました。

皆様から広くご指導いただきたいので、下記の通り内覧会を行います。

お越しいただければ幸いです!

 

とき: 令和元年9月7日(土)10時〜21時(ご都合の良い時間にお越しください)

ところ:奈良市福智院町1−3 ひとともり奈良本店

 

そして、なんと!スペシャルなイベントを用意しました。(夕刻ですのでそこに照準合わせても良しですね)

京都で話題の「雑誌を体感する空間」「泊まれる雑誌」マガザンキョウトの編集長 岩崎達也さんによるトークイベントを行う予定です!

詳細はまだ何も決まっていません(笑)ので後日お知らせ致します。多分17時頃からかなと。

→17:00〜18:30頃

「+宿〜宿をフックに共感を拡げる〜」 岩崎達也×長坂純明

にて決定しました!!

 

また当日は奈良で人気の有名店の販売協力も得て、盛り上げていただきます。(ありがとうございます!)

●「日本酒とおつまみchuin」さんによる日本酒

●「Somi sweets & coffee」さんによるコーヒーとスイーツ 

●「奈良ゲストハウス神奈寐(カムナビ)」さんによるビールとおつまみ

●「モノケマナ」さんによる無農薬・有機栽培小麦使用のパン

こちらも詳細は決まっていませんが(笑)その他、地域をあげて盛り上がれればと考えております。

楽しそうです。是非お越し下さい!

 

では、ひとともり奈良本店の概要を。

私達がお借りした建物は重要文化財地蔵菩薩様のある奈良福智院(1254年建立)の目の前にある奈良町家です。東に春日山原始林があり古くから清い水脈があったことからご近所には酒屋さんやお醤油、奈良漬屋さんの老舗があり、奈良ホテル、新薬師寺、志賀直哉邸などの大人な奈良を感じられる情緒豊かな地域です。私達の建物の中庭にも井戸があり水質検査を行ったところ綺麗な水が確認されました。

建物は奈良町家の特徴そのままの形式で、通り庭、つし2階、虫籠窓などが残っていました。中庭に面した渡り廊下があり、かつては奥に蔵があったそうです。その蔵は全焼したそうで今ではサイディング貼りの建物としてこの町家に付属していました。外観は以前の借主の商店の名残から看板下地が残っている状態でした。正確な古さは解らないのですが寛永通宝が出てきたり江戸時代の変体仮名書体の襖紙が出てきた事から明治初期、即ち築140年ほどの建物と推測されます。

私達は予てから、設計事務所の場所を大好きな奈良で探していました。それも単に事務所をお借りするのではなく、宿とイベントスペース(妻の店と英会話などの人が集まる貸スペース)を併設する事で、建築のデザインだけではなく「生活のデザイン」を提供したいと考えていましたので、この立地や建物はぴったりだった訳です。

 

 

私達はここを

「ひとともり奈良本店」

とし、以下の3つのチャンネルで事業を行うこととしました。

 

ひとともり一級建築士事務所 HITOTOMORI ARCHITECTS

国内外の住宅、共同住宅、ホテル、オフィス、福祉施設、ヘアサロンやショールームなどを中心にあらゆる用途の建築デザイン、インテリアデザインを通し空間のデザインを提供する。この場所から産まれるデザインが皆の生活を豊かにしてくれますように。

 

宿 一灯   HITOTOMORI GUESTHOUSE

築140年の奈良町家を一組限定のゲストハウスとして運営。空間やデザインや企画はひとともり一級建築士事務所が行い、空間の体験や旅をデザインする。外国の方々にも奈良の歴史や私達の提供する丁寧なデザインが届きますように。

 

スペース 人+森 space hitotomori

イベントスペースとして運営。各種教室や個展、または喫茶店などの間借り店舗等に利用する事で人の関係性をデザインします。ここから生まれる新しい出会いや関係性が皆さんの暮らしを豊かにしてくれますように。

 

以下、ボロボロで少し寂しそうだった建物が毎日毎日手を入れる事で見事に蘇った様子を紹介します。

(まだまだ工事中です。ご了承ください。)

 

 

以前の住人が作った看板が古い建物のファサードを塞いでいます。時間をかけて右のお饂飩屋さんのように修復していきたい。でも結構この看板気に入っています。今後ひっそりとサインを入れたいと考えています。左はイベントスペース「人+森」、右の既存タイル壁の所が「宿 一灯」の玄関になります。ちょうど土間のモルタルを打った後の写真です。建具と塗装が未完ですがほぼ出来上がった状態です。

 

 

イベントスペース人+森に杉の建具が入りました。イベントスペースから中庭が見えるように奥の壁にも開口部を設けています。その奥には設計事務所の開口部を設けていますので一直線に奥まで見通せるように改装しました。

 

 

 

イベントスペースの壁はなんとも雰囲気のある左官壁です。これはUトップという下地調整剤です。本来はこの上に仕上材を施しますがこのままの表情が気に入り、これを仕上げとしています。(現在椅子選定中)

 

 

 

建具の前にはファブリックを設置する予定です。柔らかな印象自体がファサードになるように考えています。fabricscapeさんと共にコンセプトを充分に会話します。素晴らしい提案にワクワク。出来上がるのが楽しみです。写真は照明との相性や色の確認、布の揺れ感、サイズなどをfabricscapeさんと共に確認している所です。

 

 

 

宿の入口の壁です。2階のゲストルームに貼ってあった天井板を今回解体しました。大変良い材料だし、やはり活かしたいので宿の入口に再利用しています。材料は古いけどデザインは現代的に処理する事で新旧の対比を図っています。(新旧の対比を極端に見せないのは当社の特徴だと思います)

 

 

 

宿入口を反対から見たところです。(ドアが未設置)ここは140年の間に何度か手入れをしていることがわかりました。今回も梁と柱にダメージが確認できたので補強を加えています。段階を経た補強が目に見えるようデザインしています。(梁が3段になっている)

 

 

 

通り庭(通り土間)です。天窓があり、とても迫力のある印象的な空間で、宿一灯に相応しい空間です。ここがゲストルーム前のホワイエとなります。新しい空間ではススなどで真っ黒になった空間に今回黒く調合した土壁をあわせ、その表層の表情の違いだけが天窓の光によって表現される空間を目指しています。この空間に灯す照明はもちろん「一灯」で、NEW LIGHT POTTERYさんと共に究極の光の空間をデザインしています。

 

 

ここに少しだけ現代的で新しく加えた要素が見えます。水たまりのあるコンクリートカウンターと円弧のある座敷床の間の壁。

 

 

実はこの部屋の壁が当初はほとんどベニヤ板で覆われていて、中がどうなっているのかわかりませんでした。バラしたところ劣化が激しく、今回構造補強もあわせて梁や床を入れ替え、既存の構造と見分けがつかないように墨で黒く染めました。床の間は一間の幅が有りましたが補強の柱を入れ狭くなってしましました。村野藤吾先生の本を何度も見直し、今回曲面の壁を設け既存との対比をデザインしています。また床の間や書院の床と天井は安多化粧合板さんのアンモニア燻蒸したポプラの突板としています。

 

 

 

この座敷は中庭に面していて、この建物のメインとなる空間です。ひとともり奈良本店ではこの場所を多目的な場所と位置付けています。ゲストが朝食を食べるも良し、建築事務所の打合にも、イベントスペースの延長空間として、または昼寝なんかにも良いな(笑)と思っています。写真は障子紙を貼る前の障子。空間に馴染むよう柿渋と渋墨を調合して塗布しています。あと畳と障子紙を貼るとほぼ終了です。この空間は中庭からの乏しい光を最大限効果的に美しく扱いたいと考えています。ですので部屋の照明器具は一灯のみ。客室に入る前の期待感を上げまくりたいと考えています。

 

 

 

その座敷の対面の壁。この壁は中庭の光を受けながら座敷空間と違和感なく、かつ印象的な壁にしたかったので、今回大好きになった柿渋と墨を刷り込んでみました。夜はここに白大理石のブラケット照明による一灯が。と考えると震えます(笑)。ここからイベントスペースの箱階段も見えます。

 

 

 

宿 一灯の客室です。つし2階なので低い天井が貼られていましたが、小屋裏の美しさを確認したので全撤去をしました。ただし解体された天井板は美しかったので各所に再利用しアップサイクルしています。窓際の床は杉の板間とし全体をベッドと見立てています。ここにセミダブルのハリウッドツインを実現する予定です。

 

 

工事中の中庭です。ここは奈良のプランタさんとのコラボレーション空間とします。写真右側は雨水排水を考えコンクリート土間としました。井戸の造形や束石の上の独立柱が抽象的な配置になったので、左側の植栽は右の抽象と対比させるような庭にしようとしています。従来の日本の中庭の概念を少し崩しながら現代的な解釈の庭ができると思っています。ほんの10分ほどの現場での会話でこんなアイデアが。プランタさん。感服です。

そしてこの中庭を挟んで向こう側には設計事務所があります。

 

 

元お餅作りの工場兼事務所のあった部分を設計事務所に改装しました。床、壁に断熱を補強し、ベトナムのVo Trong Nghia事務所で体験した「裸足の事務所」を再現しています。そしてもはや熱帯気候の日本にはシーリングファンが欠かせません。奥の小上がり空間は事務所のエントランス兼打合コーナーです。中庭の緑を切り取る窓が特に気に入っています。

 

 

事務所エントランス兼打合室です。ここにはオーセンティックなカリモクのソファを中古で調達しました。ここでは主にフランクな会話から生み出されるアイデアを期待しているので、あえて少しはずしてみました。出来ればペルシャ絨毯かラグを敷きレトロな純喫茶のような雰囲気が良いかなと楽しんでいます。(ゴールデンベルは移動します。笑)

 

こんな「ひとともり奈良本店」です。

 

9/7の内覧会。

皆様のお越しを心からお待ちしております。

 

ひとともり 長坂純明