tayura

SOMEWHEREに6連載されたコラムの最終章を転記します。

https://smwr.jp/feature/series/-Q6oQGiOfs/BsbTAq8DXz?utm_source=ig&utm_medium=social&utm_content=link_in_bio&fbclid=PAdGRleAO1PVdleHRuA2FlbQIxMQBzcnRjBmFwcF9pZA8xMjQwMjQ1NzQyODc0MTQAAadFj0Rl3QDWRaDVQM8iWNhAAyqw7CbRAdNJJu4jz0ctK5igUzVUV7-qkAoKmw_aem_bU9xFtqTptfwQ1pKu-7fIw

 

チャレンジの家 「たゆら」

最終のコラムとなりました。

私達が設計を担当したホテル「たゆら」は、今回私がサブテーマとして設けたホテルと住宅の違いをちょうど表しているので最後に紹介したいと思います。

奈良町元林院エリアはかつて花街として栄えたエリアで現在も規模を縮小し芸妓さんのおられる花街として存続している。そこにあったピンサロビル(その昔は旅館であった)をリノベーションし2室だけのブティックホテル「たゆら」としてスタートする。建物から見える景色は歴史的な寺社仏閣のようなステレオタイプの奈良が見える訳ではないのだが、錆びた波板や湿っぽい風景はある種の美しさを持ったもう一つの奈良の景色として捉えられると日頃から感じている。ホテルのブランディングを考えた時に、奈良にはホッコリ派、自然派、歴史派のホテルは存在するがエッジの効いたホテルは一つも見当たらず、ある種の美意識を持った人達を満足させるものがない。湿っぽい風景をネガティブではなくポジティブに転換するホテルができれば、求めているエッジの効いたホテルが実現すると確信して設計を進めた。

ホテルはチャレンジ。

ここでは、ピンサロのピンクをフィーチャーしほとんどの床壁の仕上げをピンク色にした。(壁はピンク色のパテ仕上、床はモルタルにピンク色の色粉を混入)。ピンクという言葉はネガティブな印象もあるがそれをポジティブに転換する為に薄い綺麗なパテのピンク色の仕上げとした。そのような思考はホテルという商業空間では一般的だが、住宅ではほとんどない。そしてキッチンとダイニングテーブルがある事でゲストの自宅へのリファレンスとなれば良いと考えた。1タイプのキッチンはテラス向き、もう1タイプはアイランドタイプで食卓との美しい関係を模索した。洗面台などの水周りはキッチン付きにしたり、極細ミラーなどを設けてチャレンジしている。

特に風呂の在り方は両部屋ともかなりチャレンジングで、テラスに腰掛けられるフルオープンの風呂と、バルコニーに風呂が置かれているような錯覚に陥るよう企てている。

建築、家具、備品などは作りすぎず、新し過ぎない。湿っぽい、色気、をテーマにcredenzaの堀さんをアサインしコラボレーションして出来上がった唯一無二の空間となった。

手前味噌ではあるけど、極東アジアの片隅にある最もイケてるホテルの一つになったと自負しているし、ここに住んだらとても良いだろうな。とも思う。

「たゆら」

ここはホテルだけど、住む事もできる空間。

ホテルはチャレンジ/家は巣

この二つを行ったり来たりしながら、これからもホテルと住宅の違いは何なのかを探求し続けたい。

追記

最後にこの「たゆら」をバワが見たらなんと評価してくれるのだろうか。

 

設計・監理 ひとともり

照明設計 BRANCH LIGHTING DESIGN

施工 アイエム

グラフィックデザイン amanojackdesign

撮影 河田弘樹