海の家 マンションリノベーション
夏の朝
遠くに輝く海。窓からの風を受けファブリックが静かに揺れている。
裸足の子供達を育んでいるのは海なのだと実感する。
冬 夕暮れ
たった4席のカウンターレストランに家族が揃う。目の前で盛り付けられる料理。日が沈んだね。オイルランプをつけましょう。
慌ただしく過ぎる日常のほんのひと時。こんな時を感じられる事が本当の贅沢なんだと感じる。
家族みんなで過ごせる時間は無限ではない。一瞬一瞬を大切に味わいたい。その為に必要なのは光、影、風。そしてそれを受ける空間の質ではないだろうか。決して豪華ではない。いやむしろ豪華な事がこの大切な感覚を奪ってしまうのだと思う。本物の素材は光、影、風、そして時間を刻んでくれる。
建築的には中央に水周りを配置。木でコンパクトに構成し、海の見える船中キャビンと見立てている。
キャビンの窓を開け放てば、外部と家が視覚的にも物理的にも繋がる。
子供達にコンパートメントを用意した。子供部屋は存在しないが家の中で自分の居場所を自分で見つける。これが子供達の個性に繋がると考えている。
主寝室を含め共用部は全て海を眺める事ができる配置計画としている。唯一海の見えないコンパートメントにはファブリックが揺れて海の風を伝えている。
設計・監理:ひとともり一級建築士事務所 担当 長坂純明 田所千絵
照明計画:NEW LIGHT POTTERY
施工:アイエム Burg Design Banker
ファブリック:fabricscape
植栽:グリーンスペース
スピーカー:listude
テーブル:MINE
撮影:河田弘樹