中國菜 奈良町 枸杞

築100年の古民家から中國料理店へのコンバージョン。
二畳の玄関小間、四畳半と八畳の続き間、縁側、そして板張り五畳離れという典型的な日本家屋は中庭を中心に程よい光が障子や格子戸のシルエットを浮き立たせていました。
他の古民家同様、古き良き土壁や天井板は昭和の改装で新建材によって覆われていました。プリント合板や洋風のモールディングなどが歴史ある建築物に残念な違和感を与えている事はよくある事です。この建物もご多分に漏れずその状況にありました。
枸杞は点心、四川料理の名店で修行を積んだシェフが地元奈良に戻りスタートアップされる中國料理店です。自分達で無農薬の奈良野菜を育てるなど食材にこだわり、食器にこだわり、そして様々な様式を織り交ぜながら特別で美味しい料理を提供されます。
枸杞に相応しい空間として私達はこの建物の持つ残念な違和感に着目しました。
真壁内のプリント合板、天井の洋風のモールディングを全て薄いピンクで塗り込むことで、日本家屋の特徴である軸組と建具のフレームワークと対比させています。
日本建築がもつモジュールの間にあるピンク色の壁は素敵な違和感として生まれ変わりました。
クライアントにはシノワズリジャポニスク(変な造語です(笑))と説明しご理解頂きました。
カウンター席は大変小さな空間なのでぐっと天井高を下げています。「あのカウンターに座ってみたい。」と思える空間にする為に自然光を美しくうける円弧を描きました。
中庭は既存の庭に緑を足すのではなく間引き、石組からクロムメッキされた盆栽台に置かれた盆栽が2週間毎に変えられ季節を伝えています。

離れの個室は照度を落とし、床壁天井が全て柿渋の個性的な空間で中國料理を楽しんで頂ける空間としました。

100年前からある路地に並ぶ奈良町家の風情を活かし、将来に紡いでいく。

柳の木とコールテン鋼の細長いサインが皆様をお待ちしています。

「中國菜 奈良町 枸杞」
ご贔屓によろしくお願いします。

建築設計: ひとともり(長坂純明 田所千絵)
照明設計: NEW LIGHT POTTERY (永冨裕幸 奈良千寿)
グラフィックデザイン: amanojackdesign(三原賢治 須蒲有希)
庭: 土屋作庭所
サイン工事: 薩摩工業

施工: 嵩倉建設